2011.03.11

魔法少女マドカ☆マギカ 第九話「そんなの、あたしが許さない」

先週から忙しくて…。あと少しで10話の放送なので手短に。

穢れを溜め込みすぎたソウルジェムが砕け散ってグリフシードになり、魔女になってしまったさやか。魔女の結界に巻き込まれた杏子はその場に駆けつけたほむらの助けを借り、魂を失ったさやかの身体を回収して結界から脱出します。

夜遅くまでさやかを捜していたまどかは杏子たちと出会い、さやかの末路を知ります。悲しむまどかの心をさらに傷つけるような冷たいことを言うほむら。杏子はそんなほむらの態度に激怒します。

悲しみと絶望で眠れない夜を過ごすまどかの許にキュゥべえが現れ、自らの真の目的を明かします。エントロピーの増大によってやがて熱的死を迎えるこの宇宙を救う方法を求めていた彼らは、人間の少女の絶望によって発する感情エネルギーこそが最も目的に叶うことを発見しました。対価と契約によって魔法少女となった少女がやがて絶望の末に魔女となるとき、膨大な感情エネルギーを彼らは手に入れるのです。宇宙のために死ぬ気になったらいつでも声をかけてねと言って去るキュゥべえ。

さやかの身体を隠れ家に持ち帰り保管していた杏子は、一か八かさやかの魂を取り戻そうと決意し、登校途中のまどかに協力を求めます。親友の呼びかけによって魔女と化したさやかに人間の心を取り戻させようとする賭けでした。

さやか魔女に結界に侵入する二人。のうのうと人間のままでいることに罪悪感を感じているまどかに、幸せな人間が魔法少女になるなんて許さない、そんなことは本当に大事なもののために命を賭けなきゃならなくなる時に考えればいいと諭す杏子。

ついに変わり果てた姿のさやか魔女と遭遇した二人は説得を試みますが、完全に人間性を失ってしまったさやか魔女はまどかさえも殺そうとします。もはやさやかを人間に戻すことは諦めざるを得ないと悟る杏子。かつてさやかの語った正義に純粋だったころの過去の自分を重ねていた杏子は、せめてさやかを一人ぼっちでは逝かせまいと、遅れて駆けつけたほむらに気を失ったまどかを託し、自らのソウルジェムのエネルギーを解放して大爆発を起こしてさやか魔女と運命を共にします。

この街の唯一の魔法少女となったほむらの許にキュゥべえが現れ、やがて訪れるワルプルギスの夜にほむら一人で太刀打ちできない以上、もはやまどかを魔法少女にするしかないだろうと勝ち誇るのでした。

続く。


杏子の漢っぷりが光る回でした。もう今の時代では男らしい潔さを素直に受け入れられるキャラにするには、少女に仮託するしかなくなったのかも知れませんね。思えば4話ラストから9話まで、マミさんよりよっぽど出番が多かったんですよね。登場した時にはここまでカッコいいキャラになるとは思いませんでした。

まどかがさやかの身体を持ち帰った杏子たちと出会うシーン、闇にまぎれた存在である魔法少女である杏子やほむらはともかく、まどかがあんな線路のど真ん中を歩いているのは不自然すぎるのですが、陰影と幾何学模様に彩られた背景が4人(うち一人は死体)の不協和を際立たせていて、なかなかに目を惹くシーンでありました。

シャフト式の背景演出の集大成とも言えるシーンでしたね。

書きたいことは一杯あるのですが今回はここまで。

2011.02.27

魔法少女まどか☆マギカ 第八話「あたしって、ほんとバカ」

自暴自棄になったさやかは杏子が与えようとしたグリフシードを拒み、まどかにまで暴言を吐いて姿をくらまします。

ほむらと杏子は「ワルプルギスの夜」を迎え撃つための対策の検討を進めますが、そこに現れたキュゥべえは、それより先にさやかがとんでもないことになるだろうと警告するのでした。

さやかは仁美ちゃんが上條くんへの告白を予告した放課後に二人を尾行し、和やかに談笑する二人を見て、告白成功と判断してさらに自暴自棄になっていきます。ソウルジェムの穢れが限界に達しようとしているさやかは、それでもほむらからの助けも拒みます。ほむらは本性を現し、自滅することでさらにまどかの心を傷つけることになるであろうさやかを始末しようとします。

間一髪で杏子に助けられその場を逃れたさやかは、深夜の電車の中で乗り合わせたホストたちの女性を食い物にする聞くに耐えない会話を耳にし、この世界が全てを捧げて献身するものを嘲笑い食い物にする、守るに値しない世界だと思う気持ちを抑えられなくなっていきます。

夜遅くまでさやかを捜していたまどかはキュゥべえに出会い、さやかを人間に戻す手段はまどかが魔法少女になるしかないと唆されついに契約しようとしますが、その場に現れたほむらがキュゥべえを射殺してそれを阻止します。ほむらは泣きながら自分を粗末にするなとまどかに懇願しますがその気持ちは伝わらず、まどかはただほむらの豹変に怯えてその場を逃げ出すだけでした。即座に復活してほむらの無駄な行為をバカにするキュゥべえをほむらは「インキュベーター」という真の名前で呼びます。

杏子は深夜の駅でさやかを発見しますが、全ての気力を失ったさやかは周囲の人たちの幸せを願っていたはずなのに全てを呪うようになっていった自分の弱さを悔いながら涙を流し、その涙がソウルジェムを破裂させます。破裂したソウルジェムは光の中で魔女の卵であるグリフシードに姿を変えていき、主をなくしたさやかの身体は紙くずのようにどこかへ吹き飛ばされていくのでした。

キュゥべえ=インキュベーターは広がっていくその光を満足げに眺めながら、成長途中の女性が「少女」ならやがて魔女になる存在は「魔法少女」と呼ぶべきだと、驚くべき真相を誰に言うともなく語るのでした。

続く。


上條くんは、事故のために痛みすら感じなくなった左手がもう治らないことを知って自暴自棄になり、暴言を吐いてさやかを傷つけました。

さやかは、傷ついても痛みすら感じなくなった自分が誰からの愛も得られない人外の存在になったと知って自暴自棄になり、暴言を吐いてまどかを傷つけました。

よく似ています。

腕が治ってから上條くんとさやかの関係はどこかよそよそしくなり(上條くんはさやかを罵倒したことを謝罪しましたが)、そのため視聴者もさやかもそれを上條くんが不誠実な態度を取っているか、あるいはさやかに対して興味を抱いていないと解釈するように誘導され、さやかの献身は結局報われなかったと思うよう誘導されてきました。そもそも上條くんはさやかの犠牲で腕が治ったなんて知りませんし。さやかは、退院の日さえ教えて貰えなかった自分は上條くんに疎んじられていると思うようになり、それを杏子に嘲笑されたことで、自分は見返りなんて求めないと頑なになっていきます。そのくせ、その疑念を事実として突きつけられることを恐れ、自分から積極的に上條くんに接することを避けるようになります。さらに、人生全てを捧げた献身が自分の幸福にとっては全くの無意味だったなんて認めたくないから、自分は無償の善行を重ねる人間だと無理に思おうとして必要以上に「正義の味方」に固執するようになります。その無理がどんどんとさやかを追いつめていきました。

さらに、よりによって自分が魔法少女になって最初に命を救った相手である仁美ちゃん(これも本人はそのことを知りません)が、自分は上條くんに愛を告白するつもりだと、わざわざさやかに宣告してきたことが追い討ちをかけます。上條くんの愛という「見返り」を求めることで「正義の味方」でなくなってしまうことへの恐れと、人間でなくなってしまった自分への負い目、一瞬でも「仁美を見殺しにすればよかった」と思ってしまったことへの自己嫌悪、それらがないまぜになってさやか自身を苛み、それが結局さやか自身の精神の平衡を失わせ、まどかへさえも心ない言葉を吐くようになります。さらにそれが親友を傷つけたことへの自己嫌悪を呼び、まどかからも逃げ出してしまうという悪循環。まどかと和解できないままさやかが人として終わってしまう時に心配して傍らにいてくれたのは、さやかが大切に思ってきた誰でもなく、かつてさやかの献身や正義を嘲笑し殺そうとさえした杏子だったという皮肉。周囲の人たちを愛していたはずなのに、さやかは自分で自分を独りぼっちにしてしまったのです。

上條くんが本当に不誠実な恩知らずで、仁美ちゃんが本当に親友の想い人を横取りするような友だち甲斐のない子であったらまださやかにとって救いがあると言えます。心ない他者の悪意がさやかを破滅に導いたことに出来ますから。

上條くんと仁美ちゃんが楽しそうに談笑している様子を遠くから見て、さやかは自分の献身の見返りが大切に思ってきた人たちからの裏切りと嘲笑だと思ったのでしょう。電車の中で、身を削って自分に貢いでいるキャバ嬢のことを嘲り、その女の人の尊厳丸ごとを否定するようなことを喋っているチンピラホストたちの会話を聞いて、ああ、きっと上條くんと仁美ちゃんもこうやって自分というピエロを嘲笑っていたんだろうという考えをさやかは消すことが出来なかったのかもしれません。上條くんへの想いが仁美ちゃんにバレている以上、上條くんにも知られてしまったに違いないのですから。

でも本当にそうだったんでしょうか。

つまりこれは本当は逆の真相を示唆していたのではないかと、いやな想像をしてしまいます。先週までなら、それは甘い楽観であったはずですが、全てが手遅れとなってしまった今となっては、それは悲劇に追い討ちをかけるだめ押しです。

もし、上條くんがいつも自分を支え続けてくれたさやかに対して感謝ばかりか恋心を抱くようになっていたとしたら。ただ、心ない言葉を投げつけてさやかの心を傷つけてしまったせいでその気持ちを告白する勇気が持てず、臆病にさやかを避けてしまっていただけだったとしたら。

もし、仁美ちゃんの挑戦は単にさやかの恋心を見透かして告白させるためのハッタリだったのだとしたら。上條くんと話をしたのは、さやかが勝負から逃げたのを見て今度は上條くんの方から告白させようとハッパをかけに行っただけだったのだとしたら。

どうだったのかは判りませんが、いずれにせよさやかが決してそれを確かめようとはしなかったことだけは確かです。仁美ちゃんの恋の挑戦からもさやかは逃げ出しました。「自分の気持ちに向き合えますか」という仁美ちゃんの問いにさやかは逃避で答えました。

自分の正義を否定する悪の象徴のように思っていた杏子に泣き言をいいながら滅んでいったさやか。命も人生も何もかも捧げて無償の正義を貫こうとしましたが、ただの恋する少女でしかなかったさやかにはそれは荷が重過ぎました。それをさやかの弱さのせいだと斬って捨てるのは余りにも残酷過ぎます。

いったい誰のせいで、と視聴者があまりの不条理に天を仰いだところで、「私です」とぽろっと自白する奴が現れるところがこのアニメの人の悪いところです。たとえさやかが必死に頑張って今の苦境を乗り切ったとしても、いずれはああなる運命を逃れることは出来なかったというのです。杏子も、生きていればマミさんも、いずれはああなっていたのです。全ては仕組まれていたのですから。魔女の播種、育成、収穫までを含めた完璧なエコサイクル。人の世の愛も悲しみも彼らにとってはただの肥料でしかありません。種の収穫も弱い魔女の間引きも、全て孵化前の魔女自身にやらせるという徹底した合理主義。いったい彼らの真の目的はなんなのでしょう。もし今判っているままの存在でしかなければ、「絶対悪」と認定せざるを得ませんね。

ほむらはそれを阻止するために未来か別の世界からやってきた人のようですが、ほむらが守りたいのはこの世界でもなんでもなく、まどかただ一人だけのようです。まどかを苦しめたくないからと自らの手でさやかを抹殺しようとしたり、キュゥベエを射殺したその手でまどかにすがりつき感情を剥き出しにして自らの人生を捨てないようまどかに懇願したりしますが、その一方的な想いはまどかに伝わりそうにありません。まどかにとっては今までずっと一緒に泣いたり笑ったりしてきた大切な親友であるさやかこそが一番大事なのであって、唐突に感情を剥き出しにして泣きついてくる訳の分からない女の子は気味の悪い存在でしかありません。しかも今までまどかと言葉を交わしていた相手を目の前で撃ち殺すような残酷ことを平気でする人です。理解されないままほむらは心身を消耗し、キュゥべえ=インキュベータ—はその正体も手の内もだんだん判ってきたとほくそ笑みます。ほむらもまた、運命に抗おうとしながらも追いつめられていくだけの無力な存在でしかないのでしょうか。

心が優しいだけでなんの取り柄もなく、自分の存在価値のなさにいつも悩んでいるまどかが、自分が大切に思っていた人たちが次々と破滅していったのに自分だけがのうのうと五体満足で生きている罪悪感から契約の罠に嵌るのは時間の問題のようにしか思えません。まさに八方ふさがり。


次回予告。
「バカと思うかもしれないけど、あたしはね、本当に助けられないのかどうか、それを確かめるまで諦めたくない」
こんなカッコいい主人公みたいなことを言っている声の主が、あの利己主義者のアウトローを気取っていた杏子だなんて。ほむらがまどか至上主義者のヤンデレだと判ってしまった今となっては、杏子だけがさやかを救う最後の希望です。…死亡フラグ林立ですけどね。
次回「そんなの、あたしが許さない」
ああ、「Aチャンネル」の番宣のるんちゃんに癒されるなあ。ユー子が一番好きですけど。

2011.02.19

魔法少女まどか☆マギカ 第七話「本当の気持ちと向き合えますか?」

自分の掲げた信念がどれほどに高望みだったかも判らず、それでも意地でも貫こうとして精神を蝕まれていくさやか。そのさやかを見て手を差し伸べずにはいられなくなり、苦い教訓から得た「利己主義」という信条を貫けなくなった杏子。青い魔法少女と赤い魔法少女が、破滅へと一歩一歩近づいていきます。


まどかに魂=ソウルジェムを投げ捨てられて危うくお陀仏だったさやか。自宅に戻ってからキュゥべえに重クレームですが、キュゥべえの返答は淡々とした技術的説明と顧客への責任転嫁に終始する最悪のサポセン対応。それどころかクレーマーの相手なんかしてられませんとばかりさやかのソウルジェムを足で踏んづけてとびきりの苦痛を送り込み、さやかを床にのたうち回らせて黙らせます。キュゥべえさんマジドS。しかしキュゥべえの言う通り、さやかの望んだ奇跡は確かに与えられたのです。

翌日、さやかは学校を休みます。またほむらに相談するまどか。
「キュゥべえはどうしてこんな酷いことするの?」
「あいつは酷いとさえ思っていない。人間の価値観が通用しない生きものだから。何もかも奇跡の正統な対価だと、そう言い張るだけよ」
「全然釣り合ってないよっ! あんな身体にされちゃうなんてっ! さやかちゃんはただ、好きな人の怪我を治したかっただけなのに…」
「奇跡であることに違いはないわ。不可能を可能にしたんだから。美樹さやかが一生を費やして介護しても、あの少年が再び演奏できるようになる日は来なかった。奇跡はね、本当なら人の命でさえ購えるものじゃないのよ。それを売って歩いているのがあいつ」
自分と仁美ちゃんを助けるために魔法少女となって戦ってくれたさやかをどうしても助けたいまどかでしたが、ほむらの宣告は冷徹なものでした。
「感謝と責任を混同しては駄目よ。あなたには彼女を救う手だてなんてない。引け目を感じたくないからって借りを返そうだなんて、そんな出過ぎた考えは捨てなさい」
「ほむらちゃん…どうしていつも冷たいの?」
「そうね…きっともう人間じゃないから、かもね」

部屋に引きこもって布団かぶって泣き寝入りしているさやかに、テレパシーで呼びかける声。窓の外を見ると杏子でした。話があるとさやかを連れ出す杏子。
「『自業自得』にしちゃえばいいのさ。自分のためにだけ生きてれば、何もかも自分のせいだ。誰を恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない。そう思えばたいていのことは背負えるもんさ」
どういう心境の変化か、どうやらさやかを励ましたいらしい杏子。廃墟と化した教会までさやかを連れてきます。

喰うかいと杏子が投げてよこしたリンゴを床に捨てるさやか。それを見て激昂し、さやかの頚を締め上げる杏子。
「食い物を粗末にするんじゃねえ…殺すぞ」
(※この後リンゴはスタッフが美味しくいただきました。)
はっと我に帰り、さやかの頚から手を離した杏子は、身の上話を始めます。

教会の聖職者だった杏子の父は、世の乱れを憂えるあまり、正統の教義から外れた自分オリジナルの教えを信徒たちに説くようになります。異端の教えに信徒たちは遠ざかり、教会からも破門され、たちまち杏子の一家は困窮します。教会の権威の裏付けをもたない杏子の父の教えに耳を貸すものは誰もいませんでした。

父のまごころが誰にも理解されないことに心を痛めた幼い頃の杏子は、キュゥべえと契約して魔法の力で父の教会を聴衆でいっぱいにします。父が人々を導き、自分が魔女を退治することで世界が救えると信じた幼い杏子。

ですが、どういうわけか杏子の魔法少女稼業と契約のカラクリが父に知られてしまいます。自分が教えを説いていたのは偽りの力によって集められた聴衆であり、裏で娘がそのために魂をこの世ならざるモノに売り渡していたと知った父は杏子を魔女と罵り、絶望のあまり一家を道連れに自らの命を絶ってしまいます。杏子一人を残して。

人のために願った魔法がその人を破滅に導いた。その時から杏子は、魔法の力を自分一人のためだけに使うと心に誓ったのでした。

「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈ればそれと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。そうやって差引をゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ」
これからは自分のために生きろという杏子。

自分は人のために祈ったことを後悔していない、この力は使い方次第でいくらでも素晴らしいものに出来るといつも通りの信念を繰り返すさやか。ついでに、杏子が食べ物を手に入れている手段が正当なものではないだろうと杏子を批判します。

あ〜…

親に養われている身で孤児が命をつないでいくリアルを上から目線で批判できるところにさやかの語る正義の薄っぺらさが集約されています。同じように家族のいないマミさんが普通に生活できていたのは、遺産だか生命保険だか親戚の援助だか判りませんが、魔法や正義とは関係なく単にマミさんが経済的に困窮していなかっただけのことなのです。

杏子がさやかの言うことや態度に我慢ならないのにどうしても放っておけないのは、さやかの融通の利かない薄っぺらな正義こそが、自分が尊敬して愛していた父の正体そのものだということが痛いほど判るからなのかもしれません。

杏子が差し伸べた手を振り払ったさやかは、この時点では自分の正義がまだ貫けると甘く考えていたのです。

翌日、いつも通りに登校するさやか。上條くんも松葉杖をつきながらこの日から登校を始めていました。上條くんに声をかけるよう水を向けるまどかですが、さやかは煮え切らない態度を取ります。そんなさやかを一人呼び出す仁美ちゃん。

「ずっと前から、私、上條恭介くんのことお慕いしてましたの」
まさに青天の霹靂。
必死で平静を取り繕おうとするさやかに、仁美ちゃんが追い討ちをかけます。
「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって。あなたはどうですか? さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」
だんだん言葉を失っていくさやか。
「私、明日の放課後に上條くんに告白します。丸一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。上條くんに気持ちを伝えるべきかどうか」

その夜、魔女狩りに出かけようとするさやかをマンションの前で待っていたまどか。
「さやかちゃんに独りぼっちになって欲しくないの。だから…」
自分にそんな優しくされる資格はないと涙をこぼすさやか。
一瞬とはいえ、仁美ちゃんの命を助けたことを後悔してしまった。正義の味方失格。
仁美ちゃんの挑戦を受けても、ゾンビも同然の自分では受けて立つ資格もない。上條くんに愛される資格なんてない。

さやかの献身は無償どころか持ち出しです。感謝を望めないばかりか、何も知らない世の人々は、誰に守られているかも知らずにさやかから何もかも容赦なく奪っていきます。その砂をかむような惨めさを正義の味方をやってるという自己満足でしのげると思ったさやかが甘かったのですが、その甘さを批難できる資格のあるものなど誰もいません。今のままではなんの役にも立たない平凡な人間でしかないまどかでも、唯一人さやかの献身も苦しみも理解してともに涙を流してくれるというだけで、今のさやかにとってはかけがえのない存在でした。まどかの胸にすがってひとしきり号泣した後、無理矢理に自分を奮い立たせて魔女狩りに向かうさやか。

夜のコンビナートの高みの上、魔女の張り巡らした結界の外側から、さやかと魔女の戦いの様子をずっと見つめている杏子(アイス食べながらですけど)。
「黙って見てるだけなんて意外だわ」と背後から声をかけるほむら。
使い魔ではなく魔女を倒せば、グリフシードを手に入れてソウルジェムを浄化できる。そうすればさやかはまたしばらく魔法少女として永らえることが出来る。そう思って杏子はわざと獲物を譲ったのです。

結界の中でさやかが苦戦しているらしい様子を見て取って舌打ちする杏子。
「あのバカ…手こずりやがって」
魔女に飲み込まれかけたさやかを救い出す杏子。しかしまたさやかは杏子から差し伸べられた手を振り払って、一人で魔女に向かっていきます。魂と切り離された肉体はその気になりさえすれば痛みを全て消してしまうことが出来ると、狂ったように哄笑しながら血まみれで魔女を切り刻むさやか。壊れていく親友をどうすることもできないまどか。

「やめて…もう…やめて…」
続く。


悪役が実はいい奴っぽいという作劇は一般にはあまりにベタにすぎると見られがちですが、この作品の場合はその程度の救いでもなければとてもじゃないがやってられません。でも、悪役が優しいところや面倒見のいいところを見せたり、身の上話を語るというのはこの上ない死亡フラグです。

だいたい9割ぐらいが主人公を庇ったりして死にますね。
そのときたいてい以下のどっちかのセリフを言います。
「へっ…オレとしたことがドジっちまったぜ…」
「へっ…オレもヤキが回ったもんだぜ…」
杏子がそうならないよう祈るばかりです。

さやかは…もうすでに「もういいから楽にしてあげて」モードに。
いや助かったらそれに超したことないですけどね。

次回「あたしって、ほんとバカ」

2011.02.12

魔法少女まどか☆マギカ 第六話「こんなの絶対おかしいよ」

人が自分の「正義」にやたらこだわる時は往々にして、その裏の本心には薄汚れた欲望がふくれあがっているもの、というわけですね…。

さやかには正義の味方をやる能動的な理由があったわけではなく、成り行きでそうなってしまって取り返しがつかない以上、そうやって自分を正当化しなければ自分が保てないというだけのことなのです。己の悪を認めているほむら以外は、この作品の魔法少女はみんな自己正当化の論理を振りかざします。もう既に取り返しのつかない選択をしてしまった後で、もう間違いを認めてやり直すことなど出来ないから。マミさんの正義も、杏子の合理主義も、さやかと同様魔法少女としての余生を送るための自分への言い訳でしかありません。

さて、前回のラストでさやかと杏子の戦いに割って入ったほむら。当て身一発でさやかを昏倒させ、杏子に対してはあえてフルネームを呼んで牽制します。さやかに挑戦する前にじっくり下調べをしていたように意外と戦いに際して慎重な杏子は、彼我の情報の非対称性を悟って不利と判断し、引き上げます。

戦いが中断されて安心するまどかを睨みつけるほむら「どこまであなたは愚かなの」
去っていくほむらを見送りながらキュゥべえ「なんにせよ、彼女が何かを企んでいるのは確かだ!」
お前が言うな。

その夜。自宅で魔法を使いすぎて汚れたソウルジェムをグリフシードで浄化するさやか。すっかり穢れが蓄積してこのままだと孵化しかねないグリフシードを、キュゥべえは背中の口(口だったのかあれ!)で喰って処理します。今まで使っていたグリフシードは初陣で倒した魔女のものですから、次の魔女を狩らなければ今後ソウルジェムを浄化することは出来ません。才能・経験・グリフシードの数、どれをとっても杏子に勝ち目のないさやか。だったら、ものすごい才能を秘めたまどかを契約させればいいとキュゥべえはささやくのでした。

深夜のゲーセンでDDRにいそしむ杏子。そこへほむらがやってきて、意外にも共闘を持ちかけます。ほむらから見れば杏子の方がこの町の魔法少女にふさわしいと。条件はさやかの対処をほむらに任せて手を出さないこと。「あんた何物だ? いったい何が狙いなのさ?」「二週間後、この町に『ヴァルプルギスの夜』が来る」「何故わかる」「それはヒミツ。ともかく、そいつさえ倒せたら私はこの町を出て行く。後はあなたの好きにすればいい」

地道に魔女探しを続けるさやかのところへやって来たまどかは、杏子と話し合うべきだと提案します。さやかはもう杏子とは殺し合いの関係になっていること、杏子の利己主義は大切な人を守るために魔法少女になった(本当?)自分の正義と相容れないことをまどかに告げ、その提案を拒否するのでした。マミさんを見殺しにしてグリフシードを横取りした(誤解です)と、ほむらのことも激しく憎んでいるさやか。さやかを突き動かすのは二人の魔法少女への激しい憎悪であって、さやかの語る正義はだんだんとそのための大義名分でしかなくなってきていました。

「今のさやかじゃ暁美ほむらにも佐倉杏子にも勝ち目はない」とまどかに告げるキュゥべえ。

深夜。寝付けないまどかは仕事で遅く帰宅して晩酌中のゴトゥーザママに、詳細はぼかしてさやかのことを相談します。正しいことをやっているはずなのに不幸になっていく友人の話。
正しさの陥穽に陥っている人を救いたいときには、逆に自分が間違ったことをしてでも救うという手もあると言うゴトゥーザ様。
「ズルい嘘ついたり、怖いものから逃げ出したり…でもそれが、後から考えてみたら正解だったってことがある。本当に他にどうしようもないほどドン詰まりになったら、いっそ、思い切って間違えちゃうのもテなんだよ」「それがその子のためになるって、わかって貰えるかな…」「わかって貰えないときもある。特にすぐにはね。言ったろ?きれいな解決じゃないって。その子のことを諦めるか、誤解されるか、どっちがマシだい?」

正義にしがみついている人を正しさで諭そうとしても無理です。極端な正義を振りかざす人の尖鋭化した「正しさ」には一般人レベルの正しさでは対抗できません。相手の価値観の土俵に乗った時点で負けは決まっています。でも、実際にはその人が抱えている問題はそんな「正しさ」とは全く関係のないところにあったりするものです。ゴトゥーザ様が言いたいのは、あえてこっちがその「正しさ」の前提を「間違った行動」で突き崩して、硬直した「正しさ」を無効にした上でその人の抱えている問題を解決しようということなのでしょう。いいこと言うお母さんだなあ。

ネットで散々うざい子呼ばわりされているまどかですけど、ちゃんと人に相談できたり頼ったりできるところはえらいと思いますよ。自分の弱さやズルさをちゃんと認めているし。

翌日、さやかが上條くんの見舞いにいくと病室はもぬけの殻。回復が早かったので予定より早く退院したとのこと。上條くんの自宅の前で漏れ聞こえてくるバイオリンの音を聞きながら、それで自分を納得させようとするさやか。見返りを求めた時点で、さやかの正義は全て崩れ去ってしまいます。だから上條くんがあまりにすげない態度を取っても、それを責めるようなことを考えることだけは絶対してはならないのです。

そんなさやかの内面を見透かしてあざ笑うかのように現れる杏子。「魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだよ! 他人のために使ったところでろくなことにはならないのさ…巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」いや実はマミさんもそういってたんですけどね。「今すぐ乗り込んでいって、坊やの手も足も二度と使い物にならないくらいにツブしてやりな。あんたなしでは何も出来ない身体にしてやるんだよ。そうすれば坊やは今度こそあんたのもんだ。身も心も全部ね」
自分がツブす相手のことは徹底的に探りを入れるのが杏子の流儀のようですが、それにしてもよくさやかのことを観察しているものです。まあ、さやかの秘めた欲望なんてあまりに判りやすすぎると言ってしまえばそれまでですが。

きれいごとの裏に隠された欲望を面白がって露悪的に暴き立ててみせることほど人を怒らせることはありません。さやかにとってはもう杏子は殺してでも黙らせておかないといけない相手です。確かにさやかの正義の裏には上條くんへの利己的な欲望があるのですが、それでもさやかはきれいごとの正義にすがってでも歯を食いしばって見返りを求める心を抑えているのですから。正義が貫けなくなれば、今のさやかを支える全てが崩れ去ってしまいます。

杏子って口で言うことはけっこうエグいですが、相手が油断してる隙に闇討ちとか基本的に考えない、正面から挑発して勝負を吹っかけるタイプで、悪役としては気持ちがいいですね。ほむらとのコンビもなにげにお似合いです。

さやかの処理をまかされていたほむらが介入して来たため、さやかとの決闘はほむらがやることに。

たとえ間違ったことをしてでも、大切な友だちを救いたい。キュゥべえに呼ばれて決闘の場に駆けつけたまどかが取った行動は、決闘の前に、さやかを負けさせること—さやかのソウルジェムを捨てて、魔法少女に変身できなくすること—でした。陸橋から投げ捨てられたソウルジェムは、トラックの荷台に落ちてそのまま運ばれていきます。

しかし、まどかの取った行動は予想の斜め上をいく間違え方をしていたのです。

顔色を変えて瞬間移動を繰り返しトラックを追うほむら。さやかはまどかに抗議しようとしたまま倒れ、動かなくなります。
「今のはまずかったよ、まどか。よりにもよって友だちを放り投げるなんてどうかしてるよ」とキュゥべえ。
首をつかんでさやかの身体を持ち上げた杏子が叫びます。「どういうことだおい…こいつ、死んでるじゃねえかよ!」

「君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、せいぜい100m圏内が限度だからね」
さやかちゃんを死なせないでと泣き叫ぶまどかに対して、心底つき合いきれないとばかりにため息をつくキュゥべえ。
「まどか、そっちはさやかじゃなくてただの抜け殻なんだって。さやかはさっき、君が投げて捨てちゃったじゃないか。元の人間と同じ、壊れやすい身体のままで魔女と戦ってくれなんて、とてもお願いできないよ。君たち魔法少女にとって、元の身体なんていうのは外付けのハードウェアでしかないんだ。君たちの本体としての魂には、魔力をより効率よく運用できるコンパクトで安全な姿が与えられているんだ。魔法少女との契約を取り結ぶボクの役目はね、君たちの魂を抜き取ってソウルジェムに変えることなのさ」
さすがの杏子もこれには驚きます。
「それじゃあたしたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!」
杏子やまどかの反応にやれやれという感じのキュゥべえ。
「わけがわからないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

息を切らせてソウルジェムを取り返して来たほむらが、さやかの屍体にソウルジェムを握らせます。びくっ、と反応して意識を取り戻すさやか。「何? なんなの?」

続く。

やられましたね。先週からの平成仮面ライダー展開は、こっちのサプライズから目を逸らすための壮大なミスリードだったんですね。あんたの本体はそのiPhoneなんでBluetoothの圏内から離れないでくださいね、とか言われたらいや過ぎます。所持品に魂を入れられてしまうってどんなホラーですか。何となく水木しげるの世界みたいになってきました。

この作品世界での魔法少女の地位も地に墜ちすぎた感がありますが、ここまでひどい扱いでもうまどかが本当に魔法少女になる日が来るのかさえ判らなくなってきました。なったらそこで終了ですよ人生。それでも世のため人のためになるとしたらものすごい自己犠牲ですけど、悲し過ぎますね。

キュゥべえが契約集めまくってるのはニセモノの魔法少女で、まどかは真の魔法少女になる、とかならまだ救いがありますけど、何となくこの作品世界はそんな甘さを許容しそうにありません。しかし、そんな中でもオープニングだけは進化を続けていて、まどかの変身シーンも1カットまるまる直っていました。しかもさらに喜びと幸せに満ちた感じに。まどかの変身だけソウルジェムの介在しない変身なうえに、もう一人の「理想の自分」を自らの中に取り込むことで魔法少女になっていて、他の魔法少女たちの変身と根本的に違うんですよね。

本編との乖離がもはや覆いようもなくなって来たオープニングですけれど、なんの意味があるんでしょう。ただのフェイクか、こうだったらいいのにというまどかの願望か。気になります。まどかの力で今の狂った世界がリセットされて、最終回にはオープニングのような幸せ魔法少女の世界が実現する、なんてナシですよ? ちょっと楽しみな気もしますけど。

とりあえずまどかはさやかの「ほむらマミさん見殺し疑惑」を解消してあげてください。ほむら以外で真相を知ってる生存者はあなただけなんですから。

中盤のゴトゥーザママとまどかの会話シーンは雰囲気といい台詞といいとてもいいシーンで、ゴトゥーザ様の語る人生訓も非常に含蓄のあるいいものだっただけに、それを自分なりに咀嚼して実行してみたまどかの行動が、もう少しで取り返しのつかない結果を招くところだったという皮肉がひど過ぎます。

こんだけ酷くしながら、基本的には良心とか愛情の側に軸足を置いてニヒリズムや冷笑の側に行かないあたりのバランスはいいですね。露悪主義で冷笑的なだけのフィクションってあまり好きじゃないもので。

次回
「本当の気持ちと向き合えますか」

2011.02.04

魔法少女まどか☆マギカ 第五話「後悔なんてあるわけない」

いろいろ動き出してきましたよ。

今週のアバンも前回の積み残しシーンからです。さやかとキュゥべえの契約。
キュゥべえの耳から生えているのはロング耳毛ではなく触手でした。その触手をさやかの胸に突っ込み、心臓からソウルジェムをえぐり出します。ソウルジェムって魔法少女の自前じゃん!この詐欺師!そのソウルジェムに願いを込め、魔法少女誕生。「さあ、受け取るといい。…それが君の運命だ」

さて。
集団夢遊病事件として処理された魔女による大量硫化水素自殺オフ未遂事件。仁美ちゃんも検査だの聴取だのがめんどくさいと、全く昨日のことはぜんぜん記憶にない様子です。まどかと二人きりになったさやかは、魔法少女になったことについて前向きなことばかりを話します。まるで自分に無理矢理言い聞かせているような空々しさ。

下校したさやかはさっそく上條くんのお見舞いに。急に腕が治ったことを不思議がる上條くんを屋上に連れ出し、主治医や看護士さんやご家族と一緒に祝福してバイオリンを弾かせてあげます。かつてのようにバイオリンの音を響かせる上條くん。まんざらでもないようですが、ほんのちょっとだけ複雑な表情が視聴者の不安を妙に煽ります。ただただ感無量のさやか。「後悔なんてあるわけない」この時点で言っちゃうこと自体が後悔フラグです。

その光景をキュゥべえと一緒に遠くから観察する杏子。こいつら完全につるんでます。「瞬殺っしょ」あくまでさやかをツブす気満々の杏子。特にそれを止めるでもないキュゥべえ。もうこいつには何も期待しません。ただ、もう一人の魔法少女の存在だけは杏子に警告します。ほむらの正体については、実はキュゥべえもよく知らないとのこと。自分が契約したはずなのに。「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」「彼女は極めつけのイレギュラーだ」

まどかはほむらを喫茶店に呼び出し、さやかのことを相談します。ほむら曰く、さやかの性格は「魔法少女としては致命的」「どんな献身にも見返りなんてない」「美樹さやかのことは諦めて」「死んでしまった人が帰ってこないのと一緒」「契約とはたった一つの希望と引き換えにすべてを諦めることだから」「時間を無駄にさせたわね。ごめんなさい」。ほむらとしては精一杯の誠意で答えているようですが、まどかにとっては残酷な宣告でした。

それでもさやかを失うことに耐えられないまどかは、足手まといと知りつつ無理を言ってさやかの魔女狩りに同行させてもらいます。本当は不安でたまらないさやかも、その申し出をありがたく受け入れます。しかしキュゥべえはまどかだけに向けたテレパシーで、さやかが窮地に陥ったら君が契約すればいいとそそのかすのでした。もうやだこの触手生物。

使い魔の結界に侵入するや否や、狩りを邪魔して現れる別の魔法少女。杏子です。さやかの剣に対して杏子の武器は長槍。リーチから考えてもさやか不利ですが、考えてみればマミさんの武器は対魔法少女戦を考えた場合最強に近かったんですね。マミさんは今まで何人の魔法少女を蜂の巣にして来たのやら。誰もマミさんの縄張りにちょっかい出さなかった理由が判ります。

槍を突きつけながらさやかの(そしてマミさんの)正義を侮辱して挑発する杏子。使い魔なんてわざわざ狩らなくても、何人か人間を喰わせて魔女に成長させてグリフシードを孕むまで待てば効率的だと。「あんた、卵生む前の鶏シメてどうすんのさ」「食物連鎖って知ってる?」「弱い人間を魔女が喰う。その魔女をあたしたちが喰う」「そういう強さの順番なんだから」
ちなみにタイヤキ喰いながら喋ってます。風子のくせにうぐぅです。

挑発に乗って杏子と剣を交えるさやかですが、杏子の槍は無数の節を持った長大な棍に変化し、一撃でさやかを叩きのめします。杏子としては全治三か月ぐらいにしてやったつもりだったのですが、わりとあっさり立ち上がってくるさやか。「彼女は癒しの祈りを契約にして魔法少女になったからね。ダメージの回復力は人一倍だ」とキュゥべえ。出来れば今後訪れるかもしれない精神的ダメージからの回復もそうであってもらいたいものです。

戦いは再開しますがさやかは杏子に全く歯が立ちません。「ウゼぇ。超ウゼぇ」「言って聞かせて判らねえ、殴っても判らねえバカとなりゃ、あとは殺しちゃうしかないよね!」

「お願いキュゥべえ、やめさせて! こんなのってないよ!」「ボクにはどうしようもない。でも、どうしても力づくでも止めたいのなら、方法がないわけじゃないよ!」みなまで言うなこの触手生物。
「そうだ、私が契約すれば…」
親友の命すら人質に。ここまで卑劣な小動物見たことがない!

「終わりだよっ!」さやかにとどめを刺す体勢の杏子。
「私…!」ついにキュゥべえの奸計に屈するのかまどか!

「それには及ばないわ」
ほむら登場!二人の間に割って入り、余裕で髪をかきあげる仕草が超カッコいい!

こんな燃えるアニメだったっけ?
ここで続く!! 頑張れほむら! キュゥべえの野望を打ち砕け! って感じですね。


さてさて。息もつかせぬ後半でした。
ここのところの暗い展開(いやまあ今週も暗いですけど)から今週のバトル展開という燃える展開への構成はお見事としか。新キャラ杏子はえげつない人柄ではありますが、ストレートで力押しな分悪役としては爽快な方ですよね。戦い慣れした切れ目のない連続攻撃もカッコいい。

しかしキュゥべえがここまで露骨に杏子とつるんでまどかとさやかを陥れる策略に走るとは。さやかのことやダークホースほむらの情報は逐一杏子に報せておきながら、杏子のことは存在すら事前にさやかたちに一切教えない。自分のような悲劇をまどかには迎えさせたくないというさやかの想いを知っていながら、逆にそれを利用してまどかだけに感じ取れるテレパシーを放ってまどかの罪悪感を煽り契約を迫る。
「実はいい奴」だったとしたらものすごいフォロー力を持ったスタッフじゃなきゃ誰も許せないと思います。この白猿。

次回
「こんなの絶対おかしいよ」
まあ、キュゥべえはこの狂ったゲームの管理者でしかないのでしょうけどね。

2011.02.02

魔法少女まどか☆マギカ 第四話「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

まどかとさやかの目の前で惨殺されたマミさん。

マミさんが死んだ翌朝、いつものように朝食の目玉焼きを食べている自分に激しい違和感を感じてまどかが泣き出す場面。死んだ人への思いではなく、のうのうと生きている自分への嫌悪で人の死の重みを感じさせる描き方が独特です。お約束なら食事がのどを通らないとかそういう描写でお茶を濁すところですが、命の恩人が惨い殺され方をしたというのにいつものように朝食を食べて、それがけっこうおいしく感じてしまう。自分は死なないでよかったという生の実感。そういう自分の残酷さ身勝手さに打ちひしがれるという心の動きは、なんとなく判るような気がします。

まどかも私たちと同じように我が身が一番かわいい普通の人なのです。

「あんな死に方、今思い出しただけでも息ができなくなっちゃう」という台詞も切実に死の恐怖を感じさせてうまいです。失礼ながらゲームのシナリオ書く人に少し偏見を持っていたのですが、この脚本は言葉の使い方がすごく考えられていますね。

まどかのうすっぺらい決心は死の恐怖という現実の前に簡単に覆ってしまいました。

主のいないマミさんのマンションを訪れ別れを告げたあと、暁美ほむらと出会ったまどかが道すがら話をする場面。二人が初めて落ち着いて話が出来たのはほむらを敵視していたマミさんが死んだお陰というのもまた皮肉です。マミさんやさやかのようにほむらを敵視できないまどかですが、ほむらはむしろそのまどかの過剰な優しさが心配なようです。やっぱりほむらは不器用で非コミュなだけのいい人なんでしょうか。ガハラ様なのは声だけで。

いっぽう、腕が治らないと宣告され自暴自棄になって荒れる上條くん。絶望した上條くんになじられ、奇跡も魔法もあると口走ったさやかの目の前に去ったはずのキュゥべえが忽然と現れるシーンはちょっとしたホラーでしたね。ぞっとします。さやかが決心したタイミングは、はからずもさやかの本心を暴き出しているかのようです。さやかは我が身を犠牲にしても上條くんの夢を叶えたかったのではなく、奇跡や魔法にすがってでも離れていく上條くんの気持ちを自分につなぎ止めたかったのじゃないでしょうか。上條くんが紳士な態度を貫いていたら、さやかは自分の命を差し出すような決心は出来なかったでしょうね。

ほむらと別れたあとで、盛大な硫化水素大量自殺オフに巻き込まれてしまうまどか。親友の仁美ちゃんまで参加してますよ。もちろん魔女の仕業です。しかし上條くんの発狂といいタイミングが良過ぎますね。誰かに仕組まれているみたいに。

間一髪のところで助けに入ったのは魔法少女になったさやか。ほむらがまどかに気を取られていた隙にさやかを墜としましたね…おそるべしキュゥべえ。心境の変化と言っておどけるさやかですが、だんだん観ている方も、さやかのテンションが妙に高い時は自分や他人に嘘をついている時だってのが判ってきましたよ。

いっぽうマミさんの抜けたあとを狙ってやって来た魔法少女が一人。キュゥべえに新しい魔法少女の誕生を告げられますが、それならその子をツブせばいいと平然と言ってのけます。にやりと笑う八重歯の口のアップで次週へつづく。

結局は自分の欲望のために魔法少女への道を選んでしまったさやか。決して悪い子でも考えの浅い人間でもないと描かれて来ただけにその業の深さに暗澹たる気持ちになります。魔法少女が増えるたびに視聴者の気持ちが沈むアニメなんて前代未聞ですね。さらに赤毛の新魔法少女はなんかやらかす雰囲気出し過ぎです。シャフトアニメでは野中藍声のキャラは人間性が欠落していることが多いですし。

次回「後悔なんてあるわけない」
ないわけがない。

2011.01.22

魔法少女まどか☆マギカ 第三話「もう何も恐くない」

魔法少女ビジネスの闇。

マミさんは心底ひとりぼっちの魔法少女稼業に疲れてたんでしょうかね。ほむらへの態度を見る限りでは今まで出会った魔法少女とはみんな敵対関係になっちゃったんでしょうし。新米魔法少女の面倒を見ればきっと自分を慕って味方になってくれるとか思ってたのかも(過去形)。

さてさて。
さやかには入院中のボーイフレンドがいたのでした。その名も上條くん。病気で(左手が不自由に?)バイオリンが弾けない上條くんを救いたいとさやかは思っているようですが、そのために魔法少女契約はやめといた方がいいと思います。どんな奇跡も恩寵もその幻想殺しの右手が消し去ってしまいますから無駄ですよきっと。そのうえ上条勢力に魔法少女まで加わったらセカイのパワーバランスはどうなってしまうんですか(そのカミジョウくん違います)。

じりじりする視聴者をよそにまどかとさやかの魔法少女見習い生活は続き、その中でマミさんの契約の理由も明かされます。事故で重傷を負い、今にも息絶えようとしているマミさんのところにキュウべえがやって来て、契約を迫ったのだそうです。…て、それが通常の魔法少女契約フローですか! 「たいていの子は二つ返事なんだけど」って当たり前じゃないですか! 契約か死か、なら。まどかはすごい素質を持っているらしいので幸せ生活を送っている最中に契約を迫って来たけど、普通の子は窮地につけ込んで契約を迫ってるんですね。よく判りました。…つかそれ魔法少女というよりガンスリかGANTZですね。

だからこそ選択の余地のある子にはきちんと考えて決めて欲しいの、というマミさんですが、その割には二人を魔法少女にする気満々です。どっちかというとそんなマミさんをなじるほむらの考えの方が正常な気もしてきますね。そのほむらの考え方をライバルを減らしたいからだと決めつけるマミさんも、心の底では自分の都合でカタギの子を魔法少女に引き込むことに後ろめたさを感じていたのかも知れません(過去形)。

そんなある晩、酔って帰って来たゴトゥーザママ(酒豪のゴトゥーザ様をあそこまで酔わせるとはどんだけハードな飲み会ですか)をパパと二人で介抱するまどか(奥さんを一人でベッドに運べないパパ非力過ぎます。さすが甲斐性なし)。ママがここまで働く理由を尋ねるまどかに、ママは仕事が好きなんじゃなくて、頑張るのが好きなのさと答えるパパ。目的でなく過程を大切にする考え方もあると知るまどかでした。

さてさてさて。
上條くんの病院に植えつけられたグリフシードを見つけ、マミさんを呼びにいくまどか。監視のために残して来たさやかとキュウべえのところへ向かう途中で、まどかはマミさんに魔法少女になる決心を固めたことを伝えます。願い事ではなく、魔法少女になること自体が願いだと。これでもうひとりぼっちじゃないと大喜びで思わず涙ぐむマミさん。しかし、浮かれ過ぎが災いしてか、そのあとの戦いでマミさんはあっさりと魔女に頭を喰いちぎられて死んでしまうのでした。

ええええええ。

いや、魔女も怖いですけど、マミさんが死んでも顔色一つ変えず、庇護者を失って窮地に陥ったさやかとまどかにここぞとばかりに契約を迫りまくるキュウべえの仕事熱心ぶりも恐過ぎます。てか魔法少女って攻撃力はすごいけど防御力ゼロですね。

結局魔女はほむらが倒したのでした。ほむらって案外不器用さんで策を聾したり手練手管が苦手そうな分いい人っぽいですよね。ちゃんとフォローしないと二人が「マミさんの弔い合戦だー」とばかりに魔法少女契約しかねないことにも気付いていないっぽいし。

なんとなく、まだ願いの決まってないまどかの願いがマミさん復活になりそうな気配がものすごくするのですが。死者の蘇生すら出来なくて「どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」とは言えますまい。他の願いも思い浮かびませんし。

アンデッド魔法少女爆誕。

2011.01.15

魔法少女まどか☆マギカ 第二話「それはとっても嬉しいなって」

マミさんはなんで一人暮らしなんでしょう。

キュウべえに魔法少女候補として選ばれたまどかとさやか。
魔法少女に契約すると何でも望みを叶えてくれるそうです。

まどかはゴドゥーザママにもしも魔法で何でも望みが叶ったらどうするかと聞いてみますが、なんでかゴドゥーザ様のよけいな野心にスイッチを入れてしまったみたいです。こんなところで本筋となんの関係もなく社長への覇道の野望を膨らませないでください。

キュウべえとマミさんの説明する魔法少女ビジネスのスキームはだいたい以下の通りです。

魔法少女は何でも望みを叶えてもらう代わりにソウルジェムという宝石を作って魔力を得て、魔法少女になる。魔法少女になったものは魔女と戦う義務を持つ。魔女とは、この世の不条理な不幸や邪念の背後にいる諸悪の根源で、こいつらをブッ転がせばみんなハッピーになるらしい。魔女をブッ転がすことで魔法少女にも多少のメリットがあることもある。

魔法少女は皆この目的にために活動しているが、だからと言って魔法少女同士が仲間とは限らない。過当競争で敵対することもあり得る。暁美ほむらもおそらくその目的でキュウべえを襲った。

…疑問点だらけですよ!
だいたいなんで魔女なんていて、誰がなんの目的で魔法少女作って魔女退治なんてやらせてるんですか? 巨万の報酬前払いってことは魔法少女は一生やめられないってことだと思うけど、おばさんやおばあさんの魔法少女はいないの? もしかして、大人になるまで生き延びないこと前提? やたらスカウトに熱心な割に魔法少女がたくさんいないのもまさか…(ブラック企業の求人かよ!) 「たいていの子は二つ返事なんだけど?」とか、(何人も苦界に沈めてやったでゲヘヘ)みたいなことさらっというキュウべえが怪しすぎます。

さすがにちょっとうまい話すぎて素直にうなずけないまどかとさやか。命と引き換えの願いなんてそうそうないというさやかはすごい常識人です。とりあえずマミさんの仕事ぶりを見学して考えてみることに。

放課後喫茶店に集まって打ち合わせです。ここから先輩リーダーについて実際のビジネスを体験してみましょう! …て、なんかこれマルチとかネットワークビジネスの勧誘そっくりですよ!! ○ム○ェイとか。会社帰りに一服するスタバでよく純粋そうな若者男女が、ムダにテンションの高い人にクロージングかけられてるの見て「あーあー」とか思いながらラテを味わってる私にはよくわかります。

仁美ちゃん、あなたの友だち二人はレズよりももっとヤバいことになってます。妄想に浸ってないで助けてあげてください。

で、なんだかんだでイヌカレー空間の中でのバトルで魔女をブッ転がし、体よく魔女の魔力を横取りして仕事完了。ほむらさんの今回のお仕事はストーキングだけでした。魔女をやっつけて魔女の呪いで無理矢理自殺させられそうになってた女の人を助けたマミさん。世のため人のために頑張るマミさんをみてまどかの心は動くのでした。

うわ、「欲望」と「正義感」の両面から攻めたら大抵の子どもはどっちかで墜ちます。魔法少女ビジネスに死角なし。

さて次回。
「無理してカッコつけてるだけで、辛くても怖くても誰にも相談できないし、独りぼっちで泣いてばかり…いいものじゃないわよ、魔法少女なんて」おっとマミさんぶっちゃけてます。泣きが入ってます。「仲間になって」とか言って純真な二人を引き込むつもりですね? 最強のクロージングです。ナイス営業。
第三話「もう何も恐くない」楽しみです。

2011.01.07

魔法少女まどか☆マギカ 第一話「夢の中で会った、ような…」

このブログにアニメの感想書くのも3年ぶりでしょうか。

関西では新春新番組第一弾ですよ。
シャフトお馴染みの新房監督アニメ。キャラクター原案は「ひだまりスケッチ」の蒼樹うめ先生です。音楽が梶浦由記さん。脚本がニトロプラスの人。

やープリキュアもいいですけどやっぱり正統派魔法少女アニメですよね。リリカルとはほど遠くなってしまったなのはさんとかは男らしすぎてなんか苦手です。そういえばなのはさんの最初のテレビシリーズの監督って新房監督だったんですよね。あまりそんな雰囲気なかったですけど。

お話は、平凡な生活を送る少女のところへ珍獣がやって来て「僕と契約して魔法少女になってよ!」とか言い出すあまりにもお馴染みのパターン。他にクールな美少女とお姉さんキャラと親友が魔法少女というのもけっこうよくある設定のような気がします。でも、どうやら魔法少女に世界の命運がかかってるらしいあたりはちょっと重そうです。

主人公のまどか役は悠木碧さん。相変わらず耳に残るイントネーションで喋ってます。親友のさやかは喜多村英梨さん、お姉さん魔法少女マミ役が水橋かおりさん。まどかにはもう一人新谷良子さん声の親友がいるのですが、どうやら魔法少女的にはこの子はハブられそうです。かわいそうに。

そして謎の転校生ほむら役が斎藤千和さん。千和さんといっても声が低い方の怖い方の千和さんですよ。いわゆるガハラ声。声聞いてるだけでドキドキします。

劇中、保健室に付き添ってほしいと偽ってほむらがまどかを人気のないところに連れ出して警告を与えるのですが、いつまどかの口にホッチキスを突っ込むのかとドキドキして正視できませんでした。ガクガクブルブル。

でも、人知れず辛そうな表情を見せるほむらは本当はまどかのことを敵視しているわけではないようですけどね。孤独に耐えて戦う少女なのですよきっと。萌えますね。

シャフトらしい個性的な美術設定は今回も飛ばしてます。家一軒入りそうな洗面所のあるまどかの家とか、総ガラス張りの教室とか。カッコいいです。

そして何より魔法世界のものすごいビジュアル。そういえば魔法少女アニメでここまで魔法世界を魔法っぽく描いたアニメってあまりありませんね。シャフト作品のエンディングなどをよくやってる劇団イヌカレーさんがコンセプトを作っているようです。新房演出と梶浦音楽と相まって怪しい怪しい。

今年のシャフトはなかなかに力が入っていそうです。続きが楽しみ。

2011.01.02

あけましておめでとうございます

年始ぐらいしか書きませんね。ここ。
たぶん今後もこういうノリになるんじゃないかと思います。何か書きたいテーマが出て来たとき、がーっ!っと書くこともあるかも…。
他二つのブログはもうちょい頻繁な更新するように屍体(ナチュラルにこういう変換する『ことえり』たまんねえぜ。更新するようにしたい、が正解)と思っています。よろしくお願いします。(ここからリンクはってないけど…)

«true tears とりわけ黒いヒロイン比呂美をプッシュしてみる

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

twitter

最近のトラックバック

カテゴリー

  • アニメ・コミック
  • ウェブログ・ココログ関連
  • グルメ・クッキング
  • パソコン・インターネット
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
無料ブログはココログ

Amazon